
12時半に手術室に入り、
部屋に戻ったのが16時過ぎ。
ほぽ予定通りだった。
左手の点滴と酸素濃度を測るメーター、下に下りていく尿管、
手術した右胸から出る液を矯める右側の管が私の身体から出ていた。
両足に履いた血栓予防の靴下の上には血圧測定のアームバンドのような
収縮するバンドが巻かれていた。
意識は完全に戻り、たっぷり眠ったので目は冴えていた。
身体が動かせないだけ。
はっきりした意識で窓の外を眺めることができた。
世界は美しかった。
見慣れた街の見慣れた空だったけれど
私にはとても、とても大切に思えた。
なんだろう・・・不思議にも
給料日が来たら、たくさん食材を買って
たくさんおいしいものを作ろう。そんな思いがひしひしと沸き上がってきた。
おいしいものも食べに行きたい。
帰ったら、入院前にオーダーしたニットのワンピースが届く予定。
好きな服を着て、好きな所へ行き、好きなことばかりして過ごしたい。
それができるまで、
許される時間がある限り
時間を愛しんで日々を過ごしていこう。
そんな思いが身体の底からじわじわと、まるで火山のマグマのように
沸き上がってきた。
これが人間なのか、私という人の特性なのか・・・
きっと私は、そういう人で
そう感じるような人生をこれまで送ってきたんだと感じる。
そんな力が湧き出る私でよかった。
わくわくしていく心身を感じながら、
また眠りに落ちた。
それは手術前夜の不安な眠りではなく
心地よい安心した眠りだった。